稽古と免状

お稽古は自分のペースで

茶道を学ぶには、まずは先生が自宅などで開いている教室に定期的に通い、点前(てまえ。お茶を点てるための一連の動作)が自然とできるようになるまで稽古することが一般的です。 行儀作法を身に付けたい、日本の美術や歴史に興味がある、着物が好き、自分で茶事や茶会を行いたい…茶道を習いたいと思う方の目的は人それぞれですが、点前の稽古を重ねることで、そのような知識が自然と身についていきます。 小堀遠州流には70種類以上の点前があり、茶室の構造や使用する道具によって、バリエーションは無限大に広がります。あらゆる点前を習得し、道具や歴史などの話に精通し、茶事や茶会を行えるようになることが、茶道を学ぶ方の一つの到達点ということができるでしょう。 当流に入門した方は、お辞儀の仕方や茶室での作法、袱紗(ふくさ)や茶巾の畳み方などの割り稽古から始め、点前や道具の扱いについて段階的に学んでいきます。その習熟の度合いにより、家元から免状が授与されます。 ご自身のペースで学びを深めていくことができ、転勤や子育てなどで長期的に稽古から離れた後再開する場合も、同じ段階から始めることが可能です。

免状について

早い方で5年、平均的に10年ほどで、「師範」(生徒を持ち当流の点前を教えることができる)の免状が取得できます。

  • 入 門

    全ての点前の基本となる、薄茶と濃茶の平点前について学びます。また、唐物茶入などの特別な道具を使った点前も稽古します。

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  • (小伝)

    「二つ茶入」などについて学びます。

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  • 初 伝

    「炭点前」について学ぶことが許されます。天目茶碗、筒茶碗、手燭などを使った点前についても学びます。初伝を取得すると、茶道で使用する名前「宗号」が授与されます。

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  • 中 伝

    仕覆(袋)のついた茶碗を扱う点前や逆勝手の各点前を学びます。特に希望される方に限り、「仮師範」の免状が与えられます。

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  • 奥 伝

    秘伝として扱われている台子点前を稽古します。また向切六通りの構えを学びます。特に希望される方に限り、「準師範」の免状が与えられます。

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  • 皆 伝

    台子点前のさらに難しいものを学びます。

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  • 師 範

    全ての点前を習得したことが認められ、自分で生徒(弟子)を持って教授することが家元から許されます。希望する方には、家元揮毫の看板が授与されます。また、茶事の実践的な作法を学ぶ家元研究会に所属することができます。

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  • 別 伝

    小堀遠州が寛永7(1630)年7月7日に茶事で披露し、当流のみに伝わっている「五段柄杓点前の法」について学ぶことができます。