茶室だより

令和六年遠州忌法要茶会 2024年3月24日(日) 護国寺茶寮[東京都文京区]

3月24日(日)、東京文京区音羽の護国寺茶寮において、小堀遠州流の令和6年遠州忌法要茶会 (主催=小堀遠州流家元・小堀宗圓、後援=小堀遠州流松籟会)が開催された。

献茶式

春寒の肌寒さの中、午前9時より忠霊堂において献茶式が行われ、 献炭、家元嗣・小堀宗峯氏による献茶、読経、献香と続き、観世流能楽師・清水義也氏による謡「羽衣」が披露された。

能の奉納

厳かな献茶式の後は茶寮四席で懸金が行われた。 家元・小堀宗圓氏の濃茶席・楓の間では家元嗣の小堀宗峯氏が後見をつとめた。流祖小堀遠州公の弟の正行公の四百十回忌に因み、寺の古材を使った道具組の趣向が印象的だった。

家元席

宗圓家元披露のときに使われたという思い出深き水指・染付竹文。高麗粉吹の茶碗は先代がつけたという「遅桜」という銘で、桜の開花を待つ今年の春を語っていた。

月窓軒

月窓軒の薄茶席でも、床には先代宗通筆の「好日」と風炉先、十四代宗忠の茶碗、宗圓作の銘「山桜」の茶杓と歴代の家元ゆかりの和歌にちなんだ春らしい道具組。

不昧軒

不昧軒の薄茶席では床に飾られた宗忠筆画賛「水仙之文」に合わせた、家元喜寿祝の水仙の蓋置に清々しいおもてなしの心を感じた。

青年部席

立礼席の艸雷庵では献茶式で披露された謡「羽衣」に因んだ道具組で、再び「羽衣」の世界に浸った。 関東大震災の年に亡くなられた宗通姉百合子氏の十五歳皆伝記念の香合。こうした記念の道具で先人たちを偲ぶ、温もりを感じる法要茶会であった。

家元席菓子

「春野」「花筏」「初桜」の菓子のおもてなしに春を楽しむ。今年は暖冬だったのに、意外にも桜の開花が遅かった。 桜が待ち遠しいが、春寒の中で開花を待つこの季節の茶会もなかなか趣深いものだ。

日本女性新聞 令和6年4月15日発行号より

撮影:熊谷秀寿