茶室だより

令和八年 式年大祭御船祭奉納神振行事 鹿島神宮献茶奉納式・呈茶会 2026年9月5日(土) 鹿島神宮[茨城県鹿島市] 

小堀遠州流では、東国の守護神、また武道の神として篤い崇敬を集める鹿島神宮において、毎年、献茶式を奉仕させていただいております。

本年は、十二年に一度、午年に斎行される「鹿島神宮式年大祭御船祭」の年にあたりました。古代の祭祀に起源をもち、鹿島神宮最大の祭典とされる御船祭。その記念すべき年の奉納神振行事の一環として、九月五日、献茶式ならびに呈茶会を執り行わせていただきました。

当日の朝、東京は激しい雨に見舞われ、一時は開催も危ぶまれるほどの空模様でした。ところが鹿島へ到着すると、心配していた雨も上がり、長雨の多かった九月には珍しいほど穏やかな一日となりました。

呈茶会

午前十時半頃より呈茶のご奉仕を始めました。境内には御船祭を祝う多くの参拝者が訪れ、私どもの呈茶席にも次々とお立ち寄りくださいました。ご用意していたお菓子も早々になくなるほどの盛況となり、大祭の賑わいの中で、多くの皆様に一服のお茶を楽しんでいただけましたことを嬉しく思います。

午後二時からは、拝殿前に設けられた特設演武場において献茶式を執り行いました。この日は同じ場所で古武道の奉納演武が行われ、また奥参道では小笠原流による流鏑馬も奉納されるなど、武道の神をお祀りする鹿島神宮ならではの神振行事が境内各所で繰り広げられていました。多くの参拝者が見守る中、鹿島の大神様に謹んでお濃茶一服を奉りました。

献茶式

とりわけ心に残りましたのは、濃茶を練り始めた頃のことです。それまで境内を覆っていた雲がすっと開き、空が一気に明るくなりました。やがて青空が広がり、そこへ涼やかな一陣の風が吹き抜けました。

つい先ほどまでの曇り空が嘘のような爽やかな陽気の中、茶を点て、大神様に一服を召し上がっていただく。そのひととき、鹿島の大神様の御神威を間近に感じるようで、なんともありがたく、忘れがたい献茶となりました。

振り返れば、当流が初めて鹿島神宮で献茶式を奉仕させていただいたのは、今から二十四年前のことです。それからちょうど御船祭二巡分の歳月が流れました。二十四年という時を経て、十二年に一度の大祭という特別な年に、再びこうして鹿島の大神様の御前で茶を点てることができたことに、深いご縁と感慨を覚えました。

このたびの式年大祭御船祭に際し、このような尊い機会を賜りました鹿島神宮の皆様、ご一緒させていただきました小笠原流礼法の皆様、そして献茶式・呈茶会にお越しくださいました多くの皆様に、心より御礼申し上げます。

集合写真

家元 小堀宗峯