茶室だより
令和七年 家元初釜 2025年1月19日(日) 帝国ホテル茶室 東光庵[東京都千代田区]
小堀遠州流初釜
新春と門出を祝う趣向 新家元・小堀芙由子宗峯への継承を寿ぐ
(橘さつき記)
日本女性新聞 令和7年2月1日発行号より
小堀遠州流初釜が1月19日、東京・内幸町の帝国ホテル4階東光庵で開催された。
主催=小堀遠州流(十七代家元・小堀宗峯)。
平成11年より25年にわたり小堀遠州流の家元を務めてきた十六代家元・小堀宗圓氏より、本年からご長女の家元嗣・小堀宗峯氏に家元を継承することになり新春と新家元への継承を寿ぐ初釜となった。
濃茶席の様子
御勅題の「夢」と巳年に因み、小堀遠州流歴代の家元を偲ぶ道具組。新たな決意で大海原に舟こぎ出す新家元・小堀宗峯氏を慶びで包む心温もる茶会だった。道具や茶友との再会を祝うことは茶会ならではの喜びである。
濃茶席の東光庵は海を、薄茶席の月歩の間では山をイメージした道具組で、佳き一年と代替わりの門出を祝った。
東光庵の寄付には松花堂筆「印尽宝船画」。七福神を模した縁起の良い絵で一年の健康と幸せを願う。
道具についての説明
濃茶席は展観席で、床には遠州書状の「元旦連歌発句入文」が流祖遠州公の交友に触れる想いで掛けられた。銘が「布袋」の竹一重切の花入にいけられた曙椿は、先々代家元が愛した花。十五代宗通箱の高麗堅手の茶碗、銘「不老」と、遠州流三代目の政恒宗実作共筒、銘は「佐ざれ石」の茶杓で祝いの席を寿ぐ。
新春の一服
月歩の間では、新家元・小堀宗峯氏のお点前で薄茶が振る舞われた。
床の軸は、尚信筆・玉舟賛「芙蓉峯之図」は宗峯氏の名前の由来となった作品であり、希望に向かって謙虚に精進を重ねていこうとする新家元の決意が伝わる。
初釜恒例の舞鶴吊香炉が舞う下で、花は寒牡丹の連鶴と干支にちなんだ琵琶の香合。茶碗は初期の白薩摩、銘が「さほ姫」。「佐保姫」は春を告げる女神である。
薄茶席
茶碗は雲州楽山の「飛鶴絵」と、美しい夢の絵の中で一碗のお茶をいただき温もった。鏡餅を模した水指、平戸の「重餅」に「代を重ねる」 意味も込め、巳年に因み宇賀神に見立てたのもまた楽しい。
今年の初釜に相応しい、心を躍らす茶趣のおもてなしの初釜だった。
薄茶席菓子
十一月には小堀遠州流家元継承披露祝賀会が予定されている。十七代家元・小堀宗峯氏を中心に、未来に向けたこれからのますますの小堀遠州流の発展と活躍に期待したい。