茶室だより
錫杖寺茶筅供養奉賛会茶会 2023年4月30日 宝珠山地蔵院 錫杖寺[埼玉県川口市]
川口宿で徳川将軍の御休息所だったという古刹、錫杖寺において、毎年春に茶筅供養茶会を行われています。
川口茶道会の主導により30年以上にわたり続けられてきた茶筅供養茶会にて、献炭献茶奉納式と濃茶席を担当させていただきました。
庫裡の間での献茶式の様子
川口市長もご出席された献炭献茶奉納式は、厳粛な雰囲気の中で行われました。 真台子和天目点前により如々庵芳賀幸四郎筆「明歴々露堂々」の前に献じた一服は、 法要でご本尊様に供えられ、茶筅をはじめとした諸道具を供養するとともに、茶道の益々の発展が祈願されました。
雨天により本堂で行われた茶筅供養
お茶がご本尊にお供えされた
法要後は茶席となりました。4月でしたがすでに夏日のような暑さでしたので、初風炉の趣向とさせていただきました。 床は清巌の「莫妄想」を掛けました。裏千家の茶室「今日庵」の逸話で有名な清巌和尚の一行は、 力強く独特の書体です。大嶺作「烏帽子」と銘のついた竹花入に大山蓮華を入れて、初風炉の喜びを表してみました。 香合は、鈍翁が楽浪郡木槨古墳の古材で作らせた名取川写。名取川の埋木で作られたという本歌は錫縁の合子ですが、 こちらは古材をそのまま生かした作りとなっており、蓋裏に細かく川波の蒔絵が描かれています。
長板二つ置き、帛紗包みの点前①
長板二つ置き、帛紗包みの点前②
真言宗のお寺であることから笠形の炭斗や孔雀の羽箒を使い、他には場所や人にご縁のあるものを取り合わせて、300人近いお客様をお迎えいたしました。 この規模での濃茶各服点でのお呈茶は初めてでしたので心配もありましたが、なんとか無事に務めることができました。
今後も「錫杖寺茶筅供養奉賛会」が末長く続きますことを願っております。
家元嗣 小堀宗峯