茶室だより

令和五年 家元初釜 2023年1月15日 帝国ホテル茶室 東光庵[東京都千代田区]

小堀遠州流初釜が1月15日、東京・内幸町の帝国ホテル東京4階茶室・東光庵で開催された。

コロナ禍の影響により茶道界における大寄せ茶会が3年余にわたって休会の状態が続いている中にあって、もてなしの心を広やかにした大寄せ茶会が待ち望まれている。 その状況の中でコロナ感染対策に配慮した茶家における釜開きのお知らせが寄せられるようになってきた。

卯年の初春、その機運を一碗に温もらせた茶事三昧を主客ともどもに分かち合う初釜はまた、清新格別のものがあるだろう。 その釜席にお招きいただき一会の和みをふくらむようにカメラに収めることができた。

濃茶席床

昨年に続いてお招きいただいたのは小堀遠州流初釜席。長年にわたって小堀遠州流が茶事一会の茶室として温もらせている帝国ホテル東京の茶室・東光庵。 正客をはじめ多くの茶友が参席しての第一席と第二席の点前を拝見。

第一席、第二席とも正客からお詰めまで満席にしての初春の一服に、小正月の清新な温もりがカメラのファインダーまで伝わるような初釜席だった。

入席の合間に東光庵(濃茶席)と月歩の間(薄茶席)の会記を拝見。 濃茶席はコロナ感染防止の配慮により会記による道具飾りの拝見。 寄付は愛新覚羅溥傑八十七歳賀状飾り。 中国清王朝帝格式の賀状。 本席の床には山城切和漢朗詠集「交友」伝藤原定頼「君と我いかなることを契りけむ昔の世こそ知まほしけれ/誰をかも知る人にせむ高砂の松もむかしの友ならなくに」。時空間を超え、交友の温もりが伝わる朗詠。

月歩の間の床には遠州家七代宗友筆(安永二年正月書初)もめでたく、香炉は吊り香炉により間合いが弾む。 南僚の舞鶴吊香炉は空間への立体感があり、香合の白兎と重ねた干支の弾みが楽しめた。

薄茶席 点前座

日本女性新聞 令和5年2月1日発行2364号より

家元嗣 小堀宗峯