茶室だより

松籟会会員の宮伸穂(宗穂)さんが「現代の名工」を受賞

盛岡市在住で南部鉄器老舗工房「釜定」代表の釡師宮伸穂(宗穂)さんが、厚生労働省から今年の「現代の名工」に選ばれ表彰されました。
岩手盛岡の南部鉄器は、歴代の南部藩主が鋳物師や釜師を召し抱え盛岡に住まわせたことが始まりと言われており、良質な原料に恵まれたことと、藩が保護育成に努めたことで発展し、以来400年の歴史を刻んできました。
工房「釜定」は1908年(明治41年)に初代宮定吉氏がこの地で創業して以来、二代目昌太郎氏、三代目伸穂氏へと盛岡南部鉄器の歴史と昔ながらの製法を守りながら伝統を引き継ぎ、現在はご子息の昌太朗さんとともに制作活動を行っております。

工房で作業する宮さん

宮伸穂さんは金沢美術工芸大学、東京芸術大学大学院へと進み、作品制作と並行して素材についての研究も深め、 和銑(わずく:日本古来の技法)による釜の制作や、A.D.I(超強靭鋳物製造)の特許取得など、伝統技術を継承しつつも現代感覚を取り入れ、 生活の道具としての鉄器づくりを目指しています。 また、ヴィクトリア&アルバート博物館(英国)やメトロポリタン美術館(米国)、ミラノ・サローネへの出品、ストックホルムでの個展など海外での活動も多く、 数々の賞を受賞されています。また、国内でも国宝中尊寺金色堂鞘堂の修理および製作などを行ってきました。
今回の受賞は、日本古来の技法で今は使われなくなった「たたら銑鉄」を研究してその技術を再現し、数百年後まで残るさびにくい鉄器づくりを可能にしたことで、 この研究が業界に大きな影響を与えたこと。また、新しいデザインを開発し、海外でも注目を浴びるなど南部鉄器の付加価値を高めたこと。 さらに若手の育成に尽力していることなどが評価されました。
表彰式は東京都内で11月13日に行われました。

受賞写真

今後ますますのご活躍をご祈念いたします。

岩手支部 坂本宗良